静かにできて、自分のペースで進められる刺繍。
特別な理由もなく始めたものでしたが、気づけば長く続いています。
一針ずつ進める時間は、思っていた以上に心地よく、ばらばらだった時間の感覚を、少しずつ整えてくれました。
刺繍を趣味にしてよかったと感じている理由を、いまの気持ちのままに綴ってみたいと思います。
何気なく始めた刺繍
静かにできて、自分のペースで進められる。
そして、少ない道具で始められるところが、刺繍に惹かれたきっかけでした。
特別な理由があったわけではありません。
ただ、いまの生活のなかに無理なく置けそうだと思ったのです。
何気なく始めたものでしたが、気づけば長く続いています。
大きな目標を立てたわけでもなく、上手くなりたいと強く思っていたわけでもありません。
それでも、布を広げて針を持つ時間は、どこか優しい時間でした。
静かに糸を通し、一針ずつ刺していく。
その単純な繰り返しが、思っていたよりも心地よかったのです。
忙しい毎日のなかで、ほんの少しだけ、自分のための時間を持てる。
刺繍は、そんな存在として、少しずつ生活の中に馴染んでいきました。
手が止まる時間もあった
刺繍を始めてから、ずっと順調だったわけではありません。
思うように時間が取れない日もあれば、布に向かう気持ちになれない時期もありました。
途中まで刺して、そのまま数週間置いたこともあります。
刺繍に向かいたい気持ちはある。
けれど、他に優先すべきこともある。
どちらも本当だからこそ、すべてを選べない時間に、少しだけ心が揺れました。
けれど不思議なことに、完全にやめてしまうことはありませんでした。
時間ができると、また布を広げたくなる。
針を持つと、自然に手が動いていきます。
進まなかった時間も、消えてしまったわけではなく、ただ静かにそこにあったのだと、後になって気づきました。
刺繍は、離れても責めません。
早く進めなくても、上手くできなくても、また戻れば、その続きを受け止めてくれます。
だからこそ、今も趣味として続いているのだと思います。
一針ずつ進むということ
刺繍の心地よいところは、一針ずつ、少しずつ進んでいくところです。
一度に大きく進まなくてもいい。
今日はここまで、と区切っても、確かに前に進んでいる。
刺した分だけ図案が埋まっていく。
昨日よりも今日、今日よりも明日と、少しずつ形になっていきます。
その小さな積み重ねが、いつの間にか心を落ち着かせてくれます。
日々の時間は、思うようにいかないこともあれば、気づけば目の前のことに追われてしまうこともあります。
けれど布の上では、どこまで進めるかも、どこで針を置くかも、自分で決められます。
小さな選択を重ねながら進めていくうちに、ばらばらだった時間の感覚が、少しずつ揃っていくのを感じます。
そうして刺繍を続けていくうちに、作品を早く完成させることよりも、針を動かしている時間そのものが大切に思えるようになりました。
ほんのわずかでも進んでいれば、それで十分だと思える。
たくさん進まなくてもいい。
でも、確かに前に進んでいる。
その感覚が、刺繍の時間を好きでいられる理由なのだと思います。
整う時間をくれる趣味
刺繍は、特別な才能がなくても始められる趣味です。
上手にできなくても、少しずつ刺していけば、布の上には確かに形が残ります。
最初はきれいに刺せなくてもかまいません。
糸がよれたり、歪な形になってしまったりすることもあります。
けれど、それも含めてひとつの形になります。
大切なのは、完成の速さでも、出来栄えでもなく、
その時間をどう過ごしたかということなのだと思います。
ほんの五分でもいい。
糸を通し、針を持ち、布に向かう。
それだけで、少しだけ呼吸が整う瞬間があります。
忙しい毎日のなかで、すべてを思い通りにはできません。
それでも、自分のために選ぶ小さな時間があってもいい。
一針ずつ進める時間は、決して華やかな時間ではありません。
けれど静かに、自分の時間の感覚を取り戻してくれます。
目の前の一針に向き合う時間。
その積み重ねが、ばらばらだった時間を、そっと自分のものに戻してくれるのかもしれません。
刺繍は、私にとって“整う時間”をくれる趣味です。
刺繍の時間を、少しだけ形に残してみたいときに
刺した日や進み具合を書き留めることで、整う時間がゆるやかにつながっていきます。
▶︎ 手帳に刺繍の進捗を書く
刺繍の時間に、やさしく寄り添う一杯を
手を動かす時間に合う紅茶の選び方を、シーン別にまとめています。
▶︎ 刺繍時間に合う紅茶の選び方


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