キャンディは優しい香りや風味と口当たりの良さから初心者でも美味しく飲みやすい紅茶です。
スリランカ紅茶の7大産地のひとつであるキャンディは、スリランカ紅茶発祥の地でもあります。
こちらの記事ではそんなキャンディについて紹介します。
キャンディの産地
キャンディとはスリランカのキャンディ地方で栽培されている紅茶です。
キャンディ地方はスリランカの中部に位置し、1988年に世界遺産に登録された仏教の聖地として有名です。
現在キャンディと呼ばれている地方には、その昔キャンディ王国という国がありました。
その国の首都がキャンディだったことから、現在もキャンディーという地名が付けられています。
キャンディとはシンハラ語で山を意味する「カンダ」に由来する言葉です。
スリランカで最初に紅茶が作られた土地が「キャンディ」です。
標高600m〜800mに位置しており、ローグロウン寄りのミディアムグロウン(中地)に分類されます。
季節風の影響を受けにくく、一年を通して気候が安定しているため一年中紅茶がとれ、茶葉の生産量も安定しています。
セイロンはもともとコーヒー栽培が盛んな国でした。コーヒーの栽培は古く17世紀から始められていたそうです。
1852年に、ジェームス・テーラーがコーヒー栽培のためにスコットランドからキャンディの地にやってきました。
ところが1859年、肝心のコーヒー園でサビ病が流行し、壊滅状態になってしまいます。
そこで、農園主たちはかわりに茶の栽培をしようとアッサム種を取り寄せ栽培を試みました。
しかし茶の栽培は難しくなかなか成功しない中、テーラーは見事にキャンディでの栽培に成功させました。
この成功からキャンディはスリランカで最初の茶園となり、セイロンティー発祥の地とされています。
テーラーはその後の生涯を紅茶の生産にかけ、セイロンティーの歴史に多大な貢献をしました。
その功績を認められ、「紅茶の神様」「セイロンティーの父」と呼ばれるまでになりました。
ジェームズ・テーラーのおかげでスリランカでは紅茶の生産ができるようになり今では紅茶の主要産出国となってい流のですね。
キャンディの茶葉について
キャンディのグレード・製造方法
キャンディの紅茶の多くは茶葉をカットしたBOPが主流です。
オーソドックス製法とセミオーソドックス製法が中心で、CTCの茶葉も少量ながら生産されています。
キャンディの製茶では、そのマイルドな味を守ることがポイントになります。
ローグロウンの茶葉はタンニンという成分が少なく元々の茶葉の含有率は15〜18%程度です。
製茶によって最終的な渋みが変わるので発酵の進み具合や茶葉の仕上がりのサイズを調整することでキャンディの味の品質を安定させています。
▼紅茶の等級(グレード)について詳しく解説▼
▼紅茶の製造方法について詳しく解説
キャンディの風味
キャンディの特徴は、その突出した個性の無さです。
キャンディは優しい香りや風味と口当たりの良さから初心者でも美味しく飲みやすい紅茶です。
キャンディのチャノキはもともとアッサムから取り寄せられたものです。
アッサムと言えば重い渋みが特徴ですが、キャンディの渋みは少なく、香りも控えめです。
これはミディアムグロウンの産地のため渋み成分であるタンニンが少ないためです。
このクセの少ない風味のためアレンジがききやすく、ブレンドティーによく使用されます。
身近な所では午後の紅茶のミルクティーや、モスバーガーのアイスティーやホットティーにも使われています。
個性がないと言われるキャンディですが、水色が美しいと評価されている紅茶です。
キャンディの茶葉は黒みを帯びた褐色ですが、水色は透明度の高い赤みがかったオレンジ色です。
鮮やかで美しく、紅茶らしい綺麗な色を楽しめます。
キャンディのクオリティーシーズン
キャンディ地方は標高の低いミディアムグロウンで、季節風の影響を受ず1年中ほぼ同じ気候です。
そのためキャンディに限ってはクオリティーシーズンというものがありません。
年間を通してほぼ同じ性質・品質の茶葉が収穫され、安定した美味しさが楽しめる紅茶です。
キャンディのおすすめの飲み方
キャンディは特徴のなさからアレンジティーにも使用しやすく、幅広く使える紅茶です。
ストレートティー
マイルドな味わいのキャンディはまずはストレートで飲むのがおすすめです。
アイスティー
水色がきれいなのでアイスティーにも向いています。
スッキリとした爽快感のある喉越しはアイスティーにすることで良く感じられます。
また、タンニンが少ない紅茶なので、クリームダウンが起こりにくいのもポイントです。
フルーツティー
アイスティーにフルーツをカットして入れるフルーツティーもおすすめです。
キャンディは通年で楽しめる紅茶なので旬のフルーツで季節感を演出するのも素敵ですね。
ミルクティー
さっぱり目のミルクティーがお好みの方にはアッサムよりキャンディの方が口に合うかと思います。
キャンディは風味が弱いので抽出時間を長めにしっかりとることをおすすめします。
キャンディのおすすめの組み合わせ
マイルドなキャンディは突出した特徴がない分どんな食べ物にも合わせやすい紅茶です。
スイーツだけでなく食事とも合わせやすく、意外な組み合わせとしてトマトとの相性が良いとされています。
これは2011年に発表されたフードペアリング理論において正式に発表されています。
トマトと紅茶は酸味という共通項があり、相性が良いです。
しかしトマトの酸味は繊細なので、酸味が強すぎる紅茶ではトマトには合いません。
そこで、ほどほどの酸味のあるキャンディがちょうどよいのです。
フルーツとクリームが両方使われているスイーツにもキャンディはおすすめです。
・フルーツと生クリームを合わせたムース
・フルーツを使ったカスタードプリン
・クリームの甘さが控えめなフルーツケーキ
等々どっちに合わせてよいか迷うときには、主張のあまりないキャンディが活躍します。
後味をマイルドにしつつも、果物の特徴を活かした味わいが楽しめます。。
ちなみにフルーツををそのまま使ったケーキならニルギリ、濃厚なカスタードプリンならアッサム、甘い生クリームのケーキならディンブラがよく合います。
キャンディと他の紅茶の違い
キャンディ以外のスリランカ紅茶
スリランカには世界有数の紅茶産地がありますが、その中で世界的に有名な『セイロン・セブン・カインズ(Ceylon Seven Kinds)』と呼ばれるセイロンの7大紅茶をご紹介します。
ウバ | メントール系の爽やかな香り、 輝く水色 良質なものは非常に希少 |
ディンブラ | 柑橘系の香りとキレの良い渋み セイロンティーの内、日本では輸入量が一番多い 旬のディンブラは香り・ボディー・渋みのバランスが良く別格。 |
ヌワラエリア | 発酵が浅い仕上げで、緑茶のような独特の渋みと高貴な香りと甘み 別名「セイロンティーのシャンパン」 茶園が少なく希少 |
キャンディ | セイロン紅茶発祥の地として有名 コクと渋みが良くも悪くも控えめで飲みやすい |
ルフナ | 濃い赤茶色の水色と濃厚な味わい 澄んだモルティー香 ミルクティーに良く合い、インドのアッサムよりも後味が軽く爽やか |
サバラガムワ | もともとはルフナにカテゴライズされていた地域 以前のセイロンティーは5カインズだったが近年7カインズになったことで追加 |
ウダプッセラワ | ウバに近い地域 口当たりと喉ごしの良さ、ほのかに香るメントール香 ザバラガムワと同じく新しく追加された地域 |
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