世界3大紅茶のひとつ「キーマン」。
キーマンは漢字で書くと「祁門」、キーモンやキームンとも呼ばれる中国で栽培される紅茶です。
独特のオリエンタルな香りが魅力の通好みの紅茶です。
こちらの記事ではそんなキーマンについて紹介します。
世界三大銘茶の1つ、キーマン
紅茶の世界には、世界三大銘茶と呼ばれる銘柄があります。
それぞれ産地に歴史があり、紅茶の品質が良く、特徴的な風味を持っています。
世界三大銘茶は、以下の3つの地域で生産された紅茶を指します。
・インド:ダージリン
・中国:キーマン
・スリランカ:ウバ
ただし、この呼び方は現在では日本だけで呼ばれている物であり、そこまで重要視されていないようです。
1915年にパナマで開催された太平洋万国博覧会で金賞を受賞してから世界三大銘茶の一つとして紹介されるようになりました。
キーマンの産地
キーマンは、中国の南東部にある安徽省祁門県(あんきしょうきもんけん)にあり、1800m以上を誇る黄山山脈と江西省の省境にあるキーマン地方で栽培されています。
標高300m〜1200mほどの丘陵地帯を中心に茶園が拓かれています。
キーマン地方はもともとは緑茶の産地でした。
しかしヨーロッパで紅茶の需要が高まると、緑茶よりも利益率の高い紅茶を栽培する農家が増えていきました。
そうして19世紀後半にはほとんどの茶葉が紅茶に加工されるようになりました。
キーマンはヴィクトリア王朝の貴族も好んだ中国の銘茶ですが、国内ではほとんど消費されず、ほぼ輸出用として栽培されています。
キーマン地方は、気候区分としては亜熱帯に分類されます。
中国全土の年間の平均気温は高いけれど、キーマンなど山に近い地域は日中の温度差が大きく、低気温な地域です。
年に200日は雨が降り、霧も多いので茶葉に日光があまり当たりません。
そのため、キーマンでは他の地方の茶葉よりもテアニンが多く含まれる茶葉が出来ます。
テアニンとは興奮した神経を鎮静させるアミノ酸の一種で、紅茶にとってはうまみのもととなります。
この気候風土が紅茶の栽培に適しており、インドやスリランカとはまた違うキーマン独特の香りと芳醇な味わいを生み出しています。
キーマンの茶葉について
キーマンのグレード・製造方法
キーマンの茶葉は、オーソドックス製法で作るOPサイズです。
上質なものは緑茶と同様に細くよじられています。
キーマンはインドのアッサムのような大量消費は目的としておらず、茶葉の独特の風味をできる限り活かすことが大切にされています。
キームンは他の紅茶よりも製造過程の工程が多く、その工程のは20近くあると言われています。
その工程の多さから「工夫紅茶」と呼ばれています。
中国特有の品質区分で分けられ、超特級、特級、一級、二級、三級というように分類されます。
その中でも高い品質の高級茶はエリザベス女王御用達として扱われる程の品質です。
キーマンは中国伝統の製法で時間と手間をかけて作られた贅沢な紅茶なのです。
茶葉のグレードについて知りたい場合は「紅茶の等級(グレード)とは」をご覧ください。
オーソドックス製法について知りたい場合は「紅茶の製造方法」をご覧ください。
キーマンの風味
キーマンの最大の特徴は東洋中国に相応しいオリエンタルな香りです。
キーマンはスモーキな香りが特徴の紅茶ですが、最上級のキーマンは「キームン香」と呼ばれるバラや蘭の花の蜜や、りんごを思わせる芳香を感じます。
キームン香がする上質なキームンは生産量が少ないため、キーマンはスモーキーな香りがする紅茶として広まってしまいました。
日本ではあまり親しまれていませんが、ヨーロッパの人々にとても好まれています。
茶葉の色は艶やかな黒褐色ですが、抽出される水色は澄んだ明るい黄色がかったオレンジ色です。
キーマンはテアニンといううま味が詰まった紅茶です。
上質なキーマンにはゴールデンリングが現れます。
ゴールデンリングとは紅茶を注いだ際にカップの内側にできる黄金色の輪のことです。
タンニン、フラボン色素を多く含み、香り、味・色ともにバランスの良い上級茶であることを示しています。
濃厚な渋みがありながらも甘みを帯びた絶妙なバランスを保っている深い味わいがある紅茶です。
香りに少しクセがあるけれど、味わい深いところから、通好みの紅茶として知られています。
キーマンのクオリティシーズン
収穫のシーズンは短く、6月〜9月の約4か月と短く、収穫量は他の茶葉と比べて非常に少ないです。
中でも8月がキーマンのクオリティシーズンとされています。
以前は4月がキーマンのクオリティシーズンと言われていましたが、現在は8月に採れる茶葉が最高品質とされています。
この時期に収穫される上級品はかなりの希少価値で、驚くような高値が付くこともあります。
キーマンのおすすめの飲み方
ストレートティー
キーマン本来の芳醇な香りや味わいをしっかりと感じるためにも、ストレートで飲むのがおすすめです。
ストレートでもキーマン特有のほんのりとした甘みを感じられるため、まずは砂糖なしで楽しんでみて欲しいです。
ストレートティーの淹れ方は「ストレートティーの美味しい淹れ方」をご覧ください。
ミルクティー
キームンはアミノ酸が豊富でうまみのある紅茶なので、ミルクティーでも楽しめます。
スモーキーな香りが苦手な方はミルクティーにすると飲みやすくなるのでおすすめです。
ミルクティーの淹れ方は「ミルクティー[ティーウィズミルク]の淹れ方」
もしくは「茶葉2倍ミルクティーの美味しい淹れ方」をご覧ください。
キーマンのおすすめの組み合わせ
キーマンはオリエンタルな少しクセのある紅茶なので、
・チーズケーキ
・ホワイトチョコレート
などのクセのある食べ物と良く合います。
酸味の強いフルーツとの相性も良く、
・レモンなどの柑橘系のフルーツ
・いちごなどの酸味のあるベリー系のフルーツ
と良く合いますし、これらを使用したケーキとも相性が良いです。
そして、キームンはテアニンが豊富でうま味が詰まった紅茶ですので、塩のある食べ物との相性もいいです。
肉料理のお食事と合わせても美味しい紅茶です。
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