世界三大銘茶の一つ、ウバ。
メントールのようなすっきりした香りと、しっかりしたコクと渋みがある紅茶です。
こちらの記事ではそんなウバについて紹介します。
世界三大銘茶の1つ、ウバ
紅茶の世界には、世界三大銘茶と呼ばれる銘柄があります。
それぞれ産地に歴史があり、紅茶の品質が良く、特徴的な風味を持っています。
世界三大銘茶は、以下の3つの地域で生産された紅茶を指します。
・インド:ダージリン
・中国:キーモン
・スリランカ:ウバ
ただし、この呼び方は現在では日本だけで呼ばれている物であり、そこまで重要視されていないようです。
ウバの産地
スリランカはインドの東南にある北海道よりも小さい島国ですが、世界でも著名な紅茶産出国です。
スリランカ茶というとあまり聞き慣れないかもしれませんが、セイロン茶でしたら聞いたことがあるのではないでしょうか。
これはスリランカの旧国名がセイロンであることから由来します。
ウバはスリランカのセイロン島南東部に位置するウバ地方で栽培されます。
ベンガル湾に面した山岳地帯の斜面に茶園が広がっており、茶園の標高は約1,400m〜1,700mのハイグロウンティー(高地産の茶葉)の1つです。
スリランカの有名な茶の産地のほとんどが中央山脈の西側にありますが、ウバは東側にあります。
ウバ地方は日中の高温と夜間の冷気のために霧が発生しやすい土地です。
7月〜8月にはインド洋からの季節風が山に当たって冷たく乾いた風が吹き下ろします。
その風は険しい山や谷に吹く風の音から「ウバ」と名づけられるほどです。
これがかかっていた霧を晴らして一気に茶葉を乾燥させます。
これはダージリンとよく似た環境と言えます。
この環境がバラやスズランの花香(サロメチール様香気)の甘い刺激的な「ウバフレーバー」と渋みをつくり出し、高値が付けられます。
ウバ地方には50以上の茶園があり、茶園によってウバ紅茶の味が違います。
・ウバハイランド茶園
・セントジェームス茶園
・ハイランズ茶園
・ディックヴェッラ茶園
・アイスラビー茶園
など様々な茶園がありますが、この茶園が特に秀でているというわけではありません。
その理由の1つに茶園のマネージャーの存在があります。
紅茶はスリランカにとって国の一大産業です。
1818年、イギリス植民政府は戦闘を経てウバ地方を征服しました
コーヒー園から始まった開拓はその後茶園へと変化しました。
1890年、イギリスのの紅茶ブランド「リプトン」の創業者トーマス・リプトンがウバの茶園を買収しました。
さらに未開拓地を茶園にし、製茶工場でウバ紅茶の増産を行いました。
このような歴史からウバ地方には個人で経営しているプライベート茶園だけでなく、会社が経営している茶園グループが多くあります。
グループ企業ともなると人事異動はつきもの。
茶園マネージャーは、いろいろな産地へ異動する可能性があり、茶園マネージャーの腕が茶葉の良し悪しに影響する場合があります。
もちろん、その年の天候によって味は大きく異なるので、毎年アタリの茶園を探すのもウバの楽しみ方の1つです。
ウバ州は小乗仏教を信仰する多数民族シンハラ人の巡礼の地で、古くから残る仏教寺院が数多くあります。
ウバの茶葉について
ウバのグレード・製造方法
ウバの茶葉に限らず、スリランカの紅茶はほとんどが茶葉を細かくカットしたBOPです。
茶園が山岳地帯にあるため、これ以上の茶園の開墾が難しく、大量生産に向かないため、CTC製法はあまり取り入れていません。
ウバの茶葉は大きく硬いことが多く、ローターバンという製法で細かく茶葉がカットされる工程をふみます。
細かいBOPにすることにより、切れのある渋みとウバフレーバーというウバの特徴が引き立ちます。
茶葉のグレードについて知りたい場合は「紅茶の等級(グレード)とは」をご覧ください。
オーソドックス製法・CTC製法・ローターバンについて知りたい場合は「紅茶の製造方法」をご覧ください。
ウバの風味
ウバの特徴は何と言っても「ウバフレーバー」と呼ばれるメントール系のスッキリした香りです。
ウバが持つメントール系の香りは紅茶としてはめずらしく、ウバが三大銘茶に選ばれたのは、その特徴的な香りが理由とも言えます。
でも、紅茶は農作物なので、その年の出来により香りの立ち方も変わるので、メントールの香りの程度にも差が生じます。
上質のものは薔薇のような香りも感じられ、渋みの鋭さが際立っています。
ウバは芳醇で深いコクと刺激的な渋みがある紅茶です。
他の紅茶と絶対的に異なる独特な味わいが特徴的で飲みにくさもあり好みが分かれやすい紅茶です。
しかし、その特徴の虜になる方も多くいます。
水色は明るい真紅色のような赤みの濃いオレンジ色です。
7~9月以外のウバ紅茶は色が濃く出て、クオリティーシーズンよりも深い色合いになります。
香り・味・色のバランスが良いのが特徴ですが、やはりクオリティーシーズンのウバの個性が前面に出ているものこそウバらしさがあり、好まれます。
ウバのクオリティーシーズン
ウバの茶葉は1年を通して生産されます。
スリランカの紅茶は季節風であるモンスーンの影響により、クオリティーシーズンが決まります。
4~6月、10~11月は多雨期の影響を受け、茶葉の育成が盛んになる量産期です。
西側の茶園が1月から2月にクオリティーシーズンを迎えるのに対し、東側のウバのクオリティーシーズンは7月~8月のたった2ヶ月間です。
メントール系の独特なウバ・フレーバーを楽しめるのはこの時期の茶葉のみです。
旬のウバは期間も短いことから非常に希少性が高く、その特徴的なフレーバーから、着香して販売する業者もいるそうです。
自然なウバは特徴的な香りながら、後には残らない爽やかなキレがあります。
クオリティーシーズンのウバの水色は透明度が高くキラキラ輝いているようにも見えます。
また、良質な茶葉であればあるほどカップに注いだ時に美しいゴールデンリングが現れます。
ゴールデンリングとは紅茶を注いだ際にカップの内側にできる黄金色の輪のことです。
タンニン、フラボン色素を多く含み、香り、味・色ともにバランスの良い上級茶であることを示しています。
ウバのおすすめの飲み方
ストレートティー
ウバはそのウバフレーバーとゴールデンリングを称えた水色を楽しむため、ストレートティーがお勧めです。
濃いと感じた時は、いつもより茶葉を少なめにするとウバのおいしさを楽しむことができます。
ストレートティーの淹れ方は「ストレートティーの美味しい淹れ方」をご覧ください。
ミルクティー
強い渋みと独特なメンソールフレーバーがあるウバ。
そんな個性の強いウバはミルクと相性抜群です。
ウバ紅茶自体の味が濃いので、ミルクを入れてもウバの味や香りを感じることができます。
そして、ウバのミルクティーは他の茶葉のミルクティーと違ってとても爽やかな風味を楽しめます。
特にウバはロイヤルミルクティーを作るときにおすすめです。
ロイヤルミルクティーにするとウバの鋭い渋みは濃厚な深みとなります。
ミルクティーの淹れ方は「ミルクティー[ティーウィズミルク]の淹れ方」
もしくは「茶葉2倍ミルクティーの美味しい淹れ方」をご覧ください。
水出しアイスティー
ウバをアイスティーで飲む場合は水出しがおすすめです。
ウバにはタンニンが比較的多く含まれている場合が多く、熱湯抽出で淹れるとクリームダウンが起こりやすいです。
水出し方式にすると澄んだ水色になり、ホットよりもまろやかな渋み、甘み、爽やかさを感じることができます。
爽快な香りが引き立ち、ティータイムだけでなく食事との相性も良いです。
水出しアイスティーの淹れ方は「水出しアイスティーの淹れ方」をご覧ください。
ウバの茶葉はオンラインだとどこで購入できる?
ウバの茶葉はオンラインだとこちらで購入できます。
ウバのおすすめの組み合わせ
ウバは主張が強い紅茶なので、濃い味のものと良く合います。
ウバの鋭い渋みは油分を分解するタンニンが豊富な証拠です。
タンニンには油分を分解する効果があり、食べ物の油分をすっきりと流してくれます。
食事と一緒に飲むのも良いですし、ティータイムにはチョコレートと相性が良いです。
チョコレートにはコーヒーという人も多いけど、紅茶派にはウバをおすすめします。
ウバ以外の紅茶だとチョコレートが強すぎますが、紅茶の味がしっかりしているウバはチョコにも負けません。
チョコレートの油っぽさと甘さが、ウバを飲むたびにさっぱりとリセットされ、ウバの独特の渋みも和らぐ良いとこ取りの組み合わせです。
ウバと他の紅茶の違い
ウバ以外のスリランカ紅茶
スリランカには世界有数の紅茶産地がありますが、その中で世界的に有名な『セイロン・セブン・カインズ(Ceylon Seven Kinds)』と呼ばれるセイロンの7大紅茶をご紹介します。
ウバ | メントール系の爽やかな香り、 輝く水色 良質なものは非常に希少 |
ディンブラ | 柑橘系の香りとキレの良い渋み 旬のディンブラは香り・ボディー・渋みのバランスが良く別格。 |
ヌワラエリア | 発酵が浅い仕上げで、独特の渋みと高貴な香りと甘み 別名「セイロンティーのシャンパン」 茶園が少なく希少 |
キャンディ | セイロン紅茶発祥の地として有名 |
ルフナ | 濃い赤茶色の水色と濃厚な味わい ミルクティーに良く合い、インドのアッサムよりも後味が軽く爽やか |
サバラガムワ | もともとはルフナにカテゴライズされていた地域 以前のセイロンティーは5カインズだったが近年7カインズになったことで追加 |
ウダプッセラワ | ウバに近い地域 口当たりと喉ごしの良さ、ほのかに香るメントール香 ザバラガムワと同じく新しく追加された地域 |
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