「イギリス人は日に7回紅茶を飲む」と言われています。
1人あたりの紅茶の年間消費量は約2.6kgとされ、平均すると1日に4〜5杯程度の計算になります。
1人あたり年間100gとされている日本人は緑茶・麦茶派が多いので単純に比較はできませんが、イギリスのすごいところは時間帯によってティータイムにきちんと名前がついているところ。
イギリスのティータイム文化への強いこだわりを感じます。
こちらの記事ではそんなイギリスの代表的な一日のティータイムを紹介します。
イギリスの一日のティータイム
- 時間帯別ティータイムの名称
- 歴史
- おすすめの紅茶
イギリスの一日のティータイム
イギリスの一日のティータイム
AM7:00 アーリー・モーニング・ティー
AM8:00 ブレックファスト・ティー
AM11:00 イレブンジス・ティー
PM13:00 ランチ・ティー
PM15:00 アフタヌーン・ティー
PM17:00〜19:00 ハイ・ティー
PM23:00 ナイト・ティー
AM7:00 アーリー・モーニング・ティー
朝、起き抜けに飲む「目覚めの一杯」
ベッドの中でそのまま楽しむことが多いので、別名「ベッド・ティー」とも呼ばれています。
アーリー・モーニング・ティーの時代はヴィクトリア時代までさかのぼり、この時代の貴族は、朝の目覚めの時間に合わせて、召使いにベッドサイドまで温かい紅茶を運ばせていました。
現在では、週末に妻のために夫が紅茶を淹れてベッドに持って行くという形でに変化していきました。
レディーファーストの国ならではの文化ですね。
インドのアッサムなど渋みの強い紅茶を濃いめに入れたミルクティーが好まれます。
AM8:00 ブレックファスト・ティー
朝食時のティータイム
イギリスの朝食は、フレッシュジュース、ベーコンエッグ、コーンフレーク、魚類、サラダ、トーストなどを時間をかけてじっくり食べます。
ボリュームたっぷりの食事と相性の良いコクのある茶葉をミルクティーにして楽しむのがイギリスの朝の定番。
忙しい朝でも毎日楽しめるようにサッと入れて飲めるティーバッグタイプが人気です。
ブランドによって様々なブレンドの「イングリッシュブレックファスト」があるので、お気に入りのブレンドを探してみるのも良いかもしれません。
AM11:00 イレブンジス・ティー
朝のひと仕事を終えて一息つくリフレッシュの時間
午前11時頃に15分程度の短い時間で楽しむティータイムです。
産業革命以降、世界に先駆けて近代化を押し進めた歴史を持つイギリスですが、当時の人々は急激な社会の変化や過酷な労働環境に疲弊していたと考えられています。
そこでヴィクトリア朝時代のメイドたちが仕事の合間に楽しんだティータイムの文化を一般階級にも広め、リフレッシュの時間を設けるようになったのです。
イギリスでは比較的最近まで、午前11時になると、ティーレディーと呼ばれるお茶入れ専門職の女性によって一斉に紅茶が配られ15分くらいの短いティーブレイクを設けるオフィスもあったようです。
手軽にティーバッグタイプの紅茶と、パクリと口に放り込める一口サイズのお菓子でリフレッシュした後は、ランチの時間までもうひと頑張りできそうです。
PM13:00 ランチ・ティー
昼食時のティータイム
比較的ゆっくりめにボリュームのある朝食をとることの多いイギリスは、必然的にランチの時間も後ろ倒しになります。
それでもやはり朝にたっぷり食べているのでランチは軽めに済ませる人が多く、イギリスのランチはサンドウィッチとミルクティーが定番です。
PM15:00 アフタヌーン・ティー
社交の場として有名な優雅なサロンティー
ティータイムとして有名なアフタヌーンティー。
伝統的なアフタヌーンティーは客間や庭園でスコーン、サンドイッチ、ケーキと一緒に紅茶を楽しみます。
社交の場でもあるため、服装・時間・テーブルでの作法などマナーが最も重視されるティータイムとされ、ホスト側はインテリアや茶器のセンスが求められます。
日本人が日本の茶事に伝統や格式を求めるように、アフタヌーン・ティーにはイギリスのお茶の時間に対する心意気や美意識が現代でも大切に受け継がれています。
19世紀半ば、ベッドフォード伯爵夫人・アンナ・マリアが、友人を招いてお菓子やパンを用意して開いたティーパーティーが、アフタヌーン・ティーの始まりとされています。
当時社交界の花形であった彼女のお茶会は大評判となり、いつしかサロンティーとして上流階級の社交の場となり、さらには、中産階級や庶民の間に広ま離ました。
現代のイギリスでのアフタヌーンティーは、特別な来客時や、仲の良い友人とのパーティーなどの場面で楽しまれています。
アフタヌーン・ティーは一日のティータイムの中でも、特別な時間を演出するティータイムですので、華やかな香りや風味を持った紅茶や、話題になるような個性的・珍しいものが用意できると素敵ですね。
PM17:00〜19:00 ハイ・ティー
夕食を楽しむ家族だんらんのティータイム
ハイ・ティーは、スコットランドやアイルランドなど地方の労働者階級から始まった夕食時のお茶の時間です。
夕食を楽しむ食卓の「ハイテーブル」と、献立が「ハイカロリー」な肉料理を中心としていたことからハイ・ティーと名付けられています。
それに対して先程のアフタヌーン・ティーは、居間や応接間のローテーブルで開かれることが多かったので「ロー・ティー」とも呼ばれています。
食卓のあるダイニングと居間・応接間を別に持つのは富裕層のみでしたので、名前からもハイ・ティーが労働者階級の文化であることが伺えます。
17時〜19時頃、一日の仕事を終えた労働者が帰宅し、家族揃って夕食と紅茶で一日をねぎらいます。
この時の食卓が肉料理中心だったことから、ハイ・ティーは別名ミート・ティーとも呼ばれています。
ハイ・ティーには、 食事を引き立ててくれるような、香りや癖が控えめな紅茶がよく合います。
最近では、コンサートや観劇に出かける前の、軽めの夕食を兼ねたお茶の時間を指すことが多いようです。
PM23:00 ナイト・ティー
就寝前のくつろぎの一杯
一日の終わりの就寝前に飲む紅茶で「ナイト・キャップ・ティー」とも呼ばれます。
眠る前なのでお菓子や軽食は用意せず、フレーバードティーやハーブティー、カフェインレスの紅茶などの温かい飲み物で一日を締めくくります。
お酒の好きな人は、リキュールやブランデーなどを少し落として飲むこともあります。
優しい香りのお茶が心を解きほぐし、身体も温まるので、ぐっすりと眠れるようになります。
イギリスのティータイム文化から学ぶお茶の時間
こちらの記事では紅茶大国・イギリスの代表的な一日のティータイムを紹介しました。
イギリスの一日のティータイム
AM7:00 アーリー・モーニング・ティー
AM8:00 ブレックファスト・ティー
AM11:00 イレブンジス・ティー
PM13:00 ランチ・ティー
PM15:00 アフタヌーン・ティー
PM17:00〜19:00 ハイ・ティー
PM23:00 ナイト・ティー
イギリスのティータイム文化はまさにお茶の時間ではじまりお茶の時間で終わる一日ですね。
一日7回も紅茶を飲むのは日本人である私達にはハードルが少し高いですが、一杯のお茶の時間を大切に楽しみほっと一息つく時間を意識的に設ける気持ちは見習いたいところです。
まずは気になったティータイムを1つだけ取り入れてみるのはいかがですか?
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